自律神経失調症による手荒れの問題点と治療のポイント
自律神経失調症の手荒れ
ひどい手荒れの原因の一つに、自律神経失調症が関連していることもある、と聞くと少し意外な感じもしますね。なぜ、自律神経と手が荒れることが関連するのでしょう。
人間の体には交感神経と副交感神経という2つの神経があって、日々の体調や精神状態に大きく関わってきています。
この2つの神経系は血流、リンパ液、内臓の働きなど自分の意思とは関係なく動かし、生命維持の働きを調節しています。
日中の活動時間には交感神経が優位となり、筋肉や血管を収縮させ興奮状態にすることで、働く、体を動かすのに適する方向に傾きます。
一方夜になるにつれて副交感神経の働きが優位となり、筋力や血流を弛緩させ、休息する、静止する方向に向きます。
通常では双方が活動する、休息する、をうまくバランスを取りあっていますが、それが著しく崩れた状態のことを自律神経失調症といいます。
自律神経失調症になると、本来休むべき時に休まらず、活動する時間帯なのに疲労や眠気を感じるなど、生活に大きな支障が出てきます。
そのような不規則なリズムになると、血液やリンパ液の流れが異常をきたし、肌にとって必要な栄養分が行き届かなくなります。そして栄養不足から乾燥しやすくなり、手荒れなどの肌のトラブルの原因となるのです。
自律神経失調症は治りにくい
自律神経のバランスは一度大きく崩してしまうと、簡単には元通りになりません。治療には心療内科や精神科で、ストレスをコントロールしたり食生活を考え直すなど、基本的な生活レベルに立ち返って行われます。
抑うつ症状や不眠や胃腸の不良など、具体的な身体症状がある場合などは睡眠導入剤など、時には投薬もされます。手荒れに関しては、併行して皮膚科での治療も続けます。
どちらも長期間に渡るものですが、しっかりと諦めずに続けていけば回復も十分可能で、時には以前よりも良くなることさえあるくらいです。
また今そのような自覚症状がない場合でも、日々の生活全体を時々省みて、うまく体調管理をすることがとても大切です。
ストレスの多い現代では、どんな人でもなってしまうリスクがあるのです。ちょっとした変調を感じた時は、できるだけ早めに休むなど、無理をしないように気を付ける必要もありますね。
手荒れから全身の不調を見つけるという、思わぬ発見があると聞いて、驚いた方もいるかもしれません。何をしてもよくならないしつこい手荒れは、時には体内からの悲鳴のサインかも、ということもあるのですね。